来兎の研究室跡地

作曲家、来兎の雑記です

作曲上達100の裏ワザ

ヲノサトルさんの新著『作曲上達100の裏ワザ』を購入。

ヲノさんといえばやっぱり明和電気の「経理のヲノさん」なわけですが、文章も面白くてキーボードマガジンの連載なんかも結構読んでました。

『作曲上達100の裏ワザ』では、作曲についてのTipsが100個載っています。あくまで小ワザ集なので、初めて作曲を始めようという人は他の作曲の入門書と併用するといいと思います。

その中から良いなと思う5個を紹介。

P18 009 作曲体質を高めるために → 音を分析するクセをつけよう
好むと好まざるとにかかわらず飛び込んでくる音楽こそ、自分の音楽の「引き出し」を増やすチャンス。リズム・パターンはどう組み立てられているか?コード新興は?アレンジは?読み取れる情報は無限にあります。力試しに、脳内「耳コピ」を試してみるのも良いでしょう。外から飛び込んでくる音をゲーム感覚で分析するクセをつけること。音を分析的に考える「作曲体質」を高めるためにきわめて効果的な方法です。

 私は小学生の頃、テレビのCMで気に入った曲があるとそのコードを覚えてエレクトーンで弾いていました。エレクトーン教室で習ってないコードも多かったのでそれは自力で探していました。それは勉強とか練習とかではなく、私にとっては「遊び」だったのですが、それが今結構役に立ってるんじゃないかと思います。その分析に役立つのか次のTips↓

P23 012 音を鳴らして作曲するには → オクラ入りの楽器を有効活用しよう
小学校の頃に使っていたリコーダーや鍵盤ハーモニカ。買って数回ひいてみたものの、結局くろーセットにしまい込んだベースギター(中略)他所で使うことなどまずない完璧な「作曲専用」機材として、常時セットアップしておけるのも利点です。

 常に手元に音を確認出来るものを用意しておくのは重要です。ホームセンターで売ってる1980円のちっちゃいキーボードとかそんなので全然いいので(出来れば3和音ぐらい出た方がいいですが)テレビの前やベッドに置いておくと思いついたメロを確認したり、テレビやネットで聴いた曲のメロやコードを弾いてみたりできるといい感じ。重要なのは「すぐ」音が出せること。

P27 「鼻歌作曲派」なら → 自分にあったレコーダーを選ぼう
新たに購入するなら録音機能だけでなく、とった音をどう処理するかによって機材を選択したいものです。パソコン井と離婚で編集するつもりなら、USB接続などで簡単井データをコピー出来るタイプ。録った声を再生して聞きながら譜面に書き起こしたいのなら、イヤフォン・ジャック以外にスピーカーも付属しているタイプ。録音は一瞬で住みますが、それを楽曲にまとめる作業の方が遥かに時間がかかります。

ICレコーダーを持ち歩いてる人は結構いるんじゃないでしょうか。しかしこれ、録るのはいいのですが、聴くのが面倒だと録りっぱなしで聴かずに腐らせることが多くなります。なので録りやすさと同じぐらい聴きやすさが重要。
私の場合はiphoneに「evernote」というアプリを入れて、それに録音しています。このソフトは録音したファイルがネット経由でPCに同期出来るので、聴くのも管理も凄く楽です。

evernote
http://evernote.com/

P120 作品に満足がいかない時にも → とにかく完成してしまおう
 作曲にとりかかっても、なぜかいつも最後まで完成できず中断してしまう人って意外に多いのでは?最大の理由は、自分への要求が高すぎること。作曲したいなどと考える人は、そもそも人一倍音楽を聴きまくっている「耳年増」が多いものです。(中略)当面の目標は「宵曲を作ること」ではなく、「ダメな曲でも最後まで完成させること」。そうやってまがりなりにも完成した作品が10曲もたまった頃には、最初の頃のような失敗もかなり減っているはず。必要なのは「場数」なのです。

100のTipsの中で私が一番重要だと思うのがこれです。未完成の曲ばかり数多く抱えてたり、一曲をやたら大事にしていじくり回してたりして完成させることができない人が結構多いです。なんでこうなるかというと、「完成」させてしまうと自分の実力がその程度だと自覚せざるを得ないので、それが嫌で「自分の実力はこんなものじゃない」といじり続けることになるのです。しかし、実際には辛くても今の実力を自覚・把握しなければ成長することは出来ません。
無理矢理にでも完成させて、うまくいかなかった部分を分析し、それを次に作る曲に生かしていく。質より量です。とにかく数を作りまくった方が上手くなります。
特に完璧主義気質の方は機材だけ揃えて結局1曲も作れずにやめてしまう可能性が高いので、「こんなの自分の本当の実力じゃないんだけどね」と自分にいいわけしながらでもいいので、数を作るといいでしょう。

それでも完成出来ない人はは次の↓

P110 完全に煮詰まった時は → リセットする勇気を持とう
何日も費やして細かく書き直しながら作曲を続けてきた楽曲は、まさにその「何日も費やした」という事実故に、客観的な評価ができなくなっていることがあります。冷静に考えれば駄作や凡作であっても、投資した時間とエネルギーゆえに、捨てるのが惜しくなってしまう。そんな自分に気づいたら、いったん思い切って放棄してしまいましょう。

最終手段です。

特にこの後に続く文章に注目。

どう考えても陳腐な作品を「どこか一部を直せば名曲に”化ける”んじゃないだろうか…」と未練がましく検討したところで、現実問題、その可能性はごくわずか。作曲にも賞味期限があります。

いやぁ痛い痛い。

このようにひとつの曲にしがみつかないためにもたくさん曲は作った方がいいです。別に手抜きでもいいんですよ。テキトーに作ってても、意外にこれがいい曲になってきた!なんてこともよくあります。


追加で、私からのTipsは”短い曲から作れ”です。
8小節でもいいです。それでも曲は曲。イントロもなくていいです。パートも少なくていいです。イントロがなくて物足りないなと思ったら、次に作る新しい曲はイントロを付けてみましょう。最初から凄いの作ろうとするとまず躓きます。少しずつやることを増やしていくと、いつの間にか手の込んだ曲も作れるようになるでしょう。

余談ですが、私が作った一番短い曲は、メルブラ琥珀さんの鼻歌ですw

作曲上達100の裏ワザ 知ってトクするおもしろアイディア&ヒント集
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他にも良いTipsがいっぱいあるのでオススメです。