来兎の研究室跡地

作曲家、来兎の雑記です

来兎のかなり偏った音楽制作講座(5)たくさんパクりましょう。

作曲上達の方法、それはただひとつ、たくさん真似をすること。たくさん真似しているうちにそれが自分のなかで消化・昇華されて自分の血肉となります。

講座第三回にも書きましたが、最初は耳コピからです。大好きな曲を耳で聞いて、音を拾っていきましょう。耳コピが全然出来ないのでしたら、楽譜を買ってきて打ち込んでみるのも練習になります。
こう打ち込んだらこういう音が鳴る、ということを知れば耳コピの時の参考になります。
そうやって耳コピをこなしていくうちに、「自分ならこうする」という部分が出てくると思います。そこは自分の思うとおりに変えてみてください。それがあなたのオリジナリティです。この「自分ならこうする」が増えていくうちにオリジナル曲が作れるようになります。

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最近やたらパクリ問題が持ち上がりますが、他人の作品の完全なトレースを自分の作品だと言わない限りは責めていけないと思います。そして、それを判断し、責めてよいのはそのパクられた本人・または権利者だけであり、外野がパクリだパクリだと騒いでいるのには違和感があります*1

今あなたが使っている携帯もパソコンも机も椅子もすべては先人達のアイデアが連綿と受け継がれてきた集合体です。音楽にしたって、拍子や12平均律(ドレミファソラシド)の発見、楽器の発明・発展などがあり、今の音楽はそれを拝借して成り立っているのです。完璧なオリジナルというモノは存在しません。


ACIDという音楽制作ソフトがあります。そのソフトにはドラムやギターなどのフレーズが最初から多数付属しています。このフレーズを並べて作った曲はオリジナルなのか?私はそれをオリジナルだと宣言してよいと思います。なぜならそのフレーズを選ぶことが、その人にしか出来ないことだからです。


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starエッセンスを理解する必要がありそうです
star「アイデアは見つけるもの」
star何を面白いと感じるか、どのように着想したのか

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p3

 アイデアは思いつくものではなく見つけるものだ。
〜中略〜
 もちろん見つけるといっても、使えるアイデアそのものがどこかに潜んでいるわけではありません。見つけるのは、あくまでアイデアの原料、素材です。


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p28

イデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもないということである。


自分の曲は誰かの曲に似ていてオリジナリティがない、とか考えてしまって発表を躊躇っている人結構居るんじゃないかと思います。まぁ昔の私のことなんですけど(笑)でも、意図的に露骨にパクったのでもないかぎりはオリジナルとして発表していいのです。似た曲なんてそりゃ探せばいくらでも出てきますよ、ドレミファソラシドしかないんだから。堂々と自分の曲だと宣言すればいいんです。


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最近ボカロ界隈でイラストのパクリ問題がありましたが、その方は明らかなトレースだったようなので非難されても仕方ないかと思います。しかし、決して擁護するわけではありませんが、とてももったいないなと思いました。その方がイラストを手がけた多くの曲がヒットして、絵も評価されている。それは、単に他人の作品をパクったからではありません。どういう絵が受けるかを感覚的にわかっていたのです。しかし、その絵に必要なパーツを安易に他人の作品に求めてしまった。

ヒット曲をパクってもヒット曲にはまずなりません。パクるにもセンスと技術が必要なのです。だからパクりながらたくさん考えてください。なんでこの曲が好きなんだろう?この曲のこの部分がグッとくるんだろう?とか。そうするとたくさん気づくことがあると思います。


最後にとても素晴らしいミクの歌を貼っておきます。

*1:パクられた側のファンは作品を作者との共有物と考えるので怒るのは心情的にはわかりますが