来兎の研究室跡地

作曲家、来兎の雑記です

こだわりの時代

坂本龍一さんの追悼報道で使われたBGMがYMOの「ライディーン」が使われたことで、Twitterでは若干炎上気味です。

坂本龍一さんはYMOのメンバーですが「ライディーン」の作曲者は高橋幸宏さんです。私は作曲家をやっておりまして、仕事をしてると思うことですが、世の多くの人々にとって曲を誰が作曲したかなんて興味ありません。

しかし、歴史に残るであろう作曲家の追悼報道でか関わりがあるとはいえ別の作曲家の曲をBGMに使うというのは、番組スタッフがおそらくいつもの感覚でBGMを軽く考えていたのでしょう。

今はこだわりの時代だと思います。これまでもこだわりはありましたが、それは一部マニアの世界だったのが、今はこだわりの裾野が広がっている印象です。

コンテンツ関係の炎上の原因は温度差です。こだわりの温度感、送り手と受け手の温度差が大きくなることで、トラブルになります。

人気のコンテンツを作り続ける人は、間違いなくこだわりがあります。そして、そのファンはこだわりを感じ取れた人たちです。大抵はそこに温度を感じ取れない「門外漢」や「偉い人」が介入してこじれます。まれに、コンテンツを作っている当事者が温度感を見誤ることもあります。

AIが進化したことによって、相対的に生身の人間の作り出すこだわりの価値は間違いなく上がります。そこに気付けるかどうかが、今後のコンテンツビジネスの成否につながるでしょう。

そしてビジネスの世界は基本的にドライです。しかし、こだわりというものは個人が中心となるため、ドライなビジネスとは相反します。

冷たくドライなアクションは結果としてビジネスの命取りとなります。今後はよりウェットな采配が求めらるでしょう。