来兎の研究室跡地

作曲家、来兎の雑記です

父に教わったこと

もっと学校で、テクニックを教えてくれればよかったのに
http://anond.hatelabo.jp/20080824041507


 確か小学2年か3年生の夏休みだった。


 宿題で、うちの3階のベランダから向かいの家を描いていた。隣で父が見ていた。父は恐ろしく万能で、水道管の工事やら溶接やら写真の現像やら、何でもひとりでやってしまう。ほっといたらひとりで家も建てるだろう。当然絵も上手い。そのため口癖が「そのくらいもできんのか」子供には正直キツい。

 線画を描き終えて色を塗り始めた。みずいろの絵の具を薄めて、窓に塗り始めた。それを見た父が


「お前には窓がみずいろに見えるのか?」


 と言われた。窓を見る。窓の奥は薄暗く、テーブルとテレビらしきものが見えた。


 衝撃だった。図工の授業ではまわりの生徒は窓にみずいろを塗り、先生は何も言わなかった。窓はみずいろだと思っていた。なぜだ、ガラスは透明なのは知っている。なのになんでみずいろを塗ることになんの疑いももたなかったんだ?

 こんなことも理解できてなかったことに、なんだか恥ずかしい気持ちになった。


 それから、ちゃんと”見て”描こうと努めた。全然上手くかけなかったし、下手にディテールが気になってしまい絵を完成させられなくなり、図工の成績がいつも2とか3になった。でもなんか納得した。



 学校の先生から、教えてもらったことで衝撃を受けたことは一度も無い。