来兎の研究室跡地

作曲家、来兎の雑記です

面白がるにはスキルが要る

ASCII.jp:ガルパン杉山P「アニメにはまちおこしの力なんてない」
(1/6)|まつもとあつしの「メディア維新を行く」
http://ascii.jp/elem/000/001/173/1173185/

とてもよいインタビュー記事でした。

このお話にでてくる常盤さんとは、昨年「アニメでまちづくり!?シンポジウム」というイベントでお話させていただいたのですが、イベントタイトルに反して(?) アニメやれば街おこしできるよなんて浮ついた話ではなく、地元大洗のみなさんが楽しんで協力してくれたおかげで「結果的に」街おこしになったというお話でした。

得てして、この手のイベントは都合のいい話ばかりしそうなものですが、常磐さんだけでなくもう一人のパネラー 三浦 亨さんも地に足のついたお話をしてくれました。

コンテンツで街おこしの一番難しいところは、コンテンツ自体がヒットしないことには始まらないということです。行政主導だとそこをガッツリ無視してくれて人気が出る前提でものごとを進めてしまう。
もちろんそうしないとお金を引っ張ってこれないのはわかるけれども、人気の度合いや規模によってやりかたはあるはず。 

コンテンツに限らず、全然人気が無いのに人気があるような素振りをするのは 、結果として来てくれたお客さんを失望させるのでやめたほうが良いです。
沖縄市に「コリンザ」というほぼ機能していないショッピングモールがあるんですが、そこがまるで人気スポットのようにパンフレットに書かれていて、それを見た観光客が来てみたらお店は軒並み撤退してて、周辺にもろくな店がなく途方に暮れている姿を見たことがあります。

沖縄市那覇から車で40分〜1時間。観光客の貴重な時間を無駄にしたのです。こんな風に騙してたら、2度と来てくれなくなります。 

下手に良く見せようとせず、現状を正直にそのまま見せる。それでいいんです。

おそらくなんですが、ガルパンが街おこしのようにヒットした要因のひとつは、ガルパンファンの楽しみを見出す能力が高かったのではないかと思います。

面白さというものは誰も彼もが理解できるものではなく、個々が見出すもの。

面白がるにはそれなりの知識とスキルが必要です。その点、ガルパンファンは年齢層が高めだったのもあって飾らない街の姿や人々から面白さ、楽しさを見出だせたのではないかと思います。だから、きっかけはアニメだったのかもしれなけど、「ガルパンファン」が「大洗ファン」になった。


アニメ制作側は良いアニメを作った。アニメの舞台となった街は誠実にお客さんをもてなした。
どちらもやるべき仕事をちゃんとした結果として街おこしになった。

これは理想形でありながらも「アニメで街おこし」と言った時点で失敗が始まっているというパラドックスです。

それでも私はコンテンツでの街の活性化はやり方次第だと思います。

最近ではポケモンGOがヒットして賛否両論ありました。 

そこから見出すのは「面白さ」か「危険性」か。 そこにセンスとバランスが問われます。