来兎の研究室跡地

作曲家、来兎の雑記です

ビジネス「ストーリー」の上っ面

『ストーリーとしての競争戦略』というビジネス書のヒットのせいか、特にビジネス書なんかではよく「ストーリーを語れ」なんて言うんですけど、私これ否定的なんですよね。
上で挙げた本は良書で、ざっくり言うと「ストーリーとして語れるだけの矛盾のない強固な戦略を組み立てろ」と、内容も割と納得なわけです。
ですが、なんだか無駄に壮大なストーリーだけぶち上げてる店に行ってみたら別に普通の店だし、なんならちょっとサービス微妙じゃない?と変に「貧しい国の人々を救いたい」みたいな崇高なミッションとやらでハードルを上げまくったせいでガッカリすることが多いわけです。
そのストーリーを見せられなかったら「まあまあ良かったね」で済んだのにストーリーのせいで台無しです。

因果関係が逆だと思うんですよ。成功した企業は、振り返ればこんなストーリーがあったんだね!と言うだけであって、ストーリーを語ってたから成功したわけではないわけです。
人はストーリーにに惹きつけられるのはわかります。でもそれは商品やサービスが良いという前提があってのことでしょう。
変にストーリーが強いと「そんなに貧しい国の人々を救いたいのなら直接行ってなんかすればいいじゃん」と思うわけで、ストーリーに矛盾が生じるわけです。

ただ、ストーリーを語るとメディアは喜んで取り上げるんですよねぇ。それは麻薬的なもので、ストーリーも自意識も肥大化して、なんだか自分がすごいことをしてる気分になるだけで商売は疎かになってダメになる確率は上がるでしょうね。