来兎の研究室跡地

作曲家、来兎の雑記です

「感動の実話」が売れる理由

「オタク」という存在が割と世間に認知されてきたとはいえ、今も「オタク叩き」はそこかしこで起こっています。

よく言われるのは「犯罪予備軍

残酷な「マンガ」「アニメ」「ゲーム」が好きなオタクは現実にも同じことをやるに違いない。という考えです。

私の予想なんですが、こういうオタク叩きをする人たちは幼少の頃に虚構を虚構として消化する練習をしてこなかったのではないかと思うのです。だから、叩く人たち自身が作られた物語を上手く消化出来ず、虚構と現実の境目をつけられない。消化器官が発達していない。

自分が出来てないから、消化できる人の感覚がわからないのです。だから危ない虚構を多量摂取する人を過剰に怖がる。


だから、「実話」という触れ込みで限りなく現実に近い(と思わせる)食べやすいコンテンツにすれば、そんな消化器官が未発達な人でも上手く消化しやすいため「感動の実話」が売れるのではないかと私は考えています。

そんな人達が一番の好物は芸能人のゴシップでしょう。
とても「現実」的でテレビドラマという「虚構」よりも消化に優しい。


ここで重要なことは「実話だ」という思い込みで充分ということです。
会ったことのない芸能人のゴシップなど、一般人にとって昼ドラとなんら変わりありません。でも「実話」「真実」と思うことでそれは現実とリンクするのです。自分が納得すればいいのです。

逆に納得出来ないこと、都合の悪いことはたとえ真実であろうとも「嘘」「虚構」と解釈するでしょう。


実のところ、商業コンテンツ以上に現実は虚構に溢れており、それをひとつひとつ峻別していかなければならず生きててとても面倒だなと思います。そこに「感動の実話」とコピーがついただけでコンテンツの売れ行きが上がる現状を、私はとても怖く感じます。