来兎の研究室跡地にして雑文置き

作曲家、来兎の雑記です

ゲームとSNS


日経新聞には色々面白い広告が載るんだけど、かなり胡散臭いものもあります。その中でも「ゲーム脳本」は今も根強く人気みたいです。読まずに批判するのも何なので買って読んでみました「子どものデジタル脳 完全回復プログラム」

日頃生活していて起こる問題というものはさまざまあります。その心当たりをすべて「ゲーム」「SNS」「スマホ」「PC」に向けるのは無理があります。この本の最初にあるチェックリストはとても曖昧かつ恣意的で

お子さんが幸せを実感してないと感じることがある?また、以前ほど活動を楽しめていないと感じることは? 
 P34

という質問などは、これがYESだった場合にスマホが原因だという根拠が一体どこにあるのでしょう?

この本の根拠として出している研究をネットで検索してみると「PCが原因だろう」という推測だったり、とにかく信用に足り得ないです。グラフのひとつもありません。
そこまで断言するのなら、個別のエピソードではなく、自ら数十年に渡って数千人規模の実験を行うべきでしょう。

そして、なによりこの本が信用できないのは、タイトルの「完全回復プログラム」です。
何を持って完全回復なのか。そしてデジタルコンテンツの過激さを批判しているにも関わらず、自らは「デジタルはドラッグ」「金魚以下の集中時間」など過激な言葉を使って読み手の不安を煽るやり口はとてもまともな医学博士の書く文章とは思えません。

実のところ私もゲームやSNSが人間に悪影響を及ぼすことに関しては同意します。物事には功罪あるのが当然だからです。しかし、ゲームSNSを悪者として、それらを遠ざければ万事解決するというのはあまりに乱暴です。

もっとまともな研究に期待します。